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market hackさんから

ユーロ問題は3つのグループに分類できます。

1. 政府のクレディビリティ(信用)が失墜した国(ギリシャなど)
2. 不動産バブル崩壊で経済が急速に悪化した国(アイルランド、スペインなど)
3. 特に今回急に悪くなったわけではないが、慢性的低成長に苦しむ国(イタリアなど)


この1から3のグループに属する国々は、それぞれ抱えている問題が異なります。

そうであれば個々の国の危機に対する処方箋も本来であれば各国の実情に合わせて最適の処置がとられるべきです。

しかし欧州連合(EU)は全部の国に同一の改善目標を課しています。これはナンセンスだし、とんでもない悪いアドバイスです。この誤ったEUの処方をそのまま鵜呑みにしているとユーロは軽い風邪をこじらせて深刻な病になる病人のようにどんどん悪い方向へ行ってしまいます。

今回は3回のシリーズでこのへんのところを説明したいと思います。

【ユーロ問題の復習】
まずこれまでのユーロ問題のハイライトを簡単に振り返っておきます。

去年の10月にギリシャで総選挙があり全ギリシャ社会主義運動党が勝利しました。

新政権が発足後、最初にしたことは前政権の経済運営の失敗を暴く事でした。

財政赤字がGDPの6%ではなく12.7%だという爆弾発言をして世界の投資家をあっと言わせました。

その後、ギリシャは国の借金の借り換えをすることがだんだん困難になり、5月にはドイツなどが中心となり1兆ドルの欧州救済プログラムが発表されました。

これで一旦は危機が収まりました。

しかし今度はアイルランドの銀行が不動産デベロッパーに対する貸付の焦げ付きから相次いで経営危機に瀕し、アイルランド政府がこの救済に乗り出したことからアイルランドの財政赤字が一挙にGDPの11.6%から32%へと増えました。このため欧州連合、国際通貨基金などが850億ユーロの救済を発表しました。

【危機はこれからが本番】

さて、去年の今頃からずっと欧州におけるいろいろな出来事を追ってきた皆さんからしてみると、あるいはそろそろユーロ危機もいい加減、語り尽くされたという風に感じている方も多いかと思います。

私は1992年のEMU危機(このときはジョージ・ソロスが「イングランド銀行を破産させた男」として勇名をとどろかせました)やメキシコのテキーラ・ショック、タイのバーツ危機、ロシアのルーブル危機、アルゼンチンのペソ危機などを経験してきました。

その経験から言えば、今回のユーロの危機はまだまだここからが本番だと思います。

別の言い方をすればFXでユーロをショートしたり、スペインの株価指数であるIBEX35指数をショートしたり、フランスのCAC40をショートしたりなど、いろいろなトレード・チャンスはまだふんだんに残されているように感じます。

クライマックスが訪れるのはまだまだ先だということです。

その日その日によってロングにするか、ショートにするかは変わってくるし、適切な原資産も異なってくると思いますが、みなさんに今後特に使って欲しい原資産はスペインIBEX35指数、フランスCAC40指数の二つです。ドイツのDAXは現在のところドイツの経済が好調なのでショートには向きません。

【なぜユーロは大問題か?】
そこでなぜ私がこれからが勝負であると考えるかを説明します。

先ず欧州連合の経済規模は米国より大きく、経済圏としては世界最大です。
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次にEU圏の中をのぞいてみると欧州連合の経済を100としてその中でそれぞれのメンバー国がどのくらいの比率を占めるかを示したのがこのグラフです。

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ドイツが最も大きく、20%を占めています。その次はフランスで16%です。イタリアは3番目で13%です。スペインは4番目で9%です。

ギリシャは2%、アイルランドは1.4%に過ぎません。

つまり経済の規模から言えばギリシャやアイルランドなど問題にならない規模だということです。

ところが先日アイルランドに対する850億ユーロの救済が発表された同じ日に異変が起きました。それはその日を境としてスペイン、イタリア、ベルギー、フランスなどのソブリン・スプレッドが上昇しはじめたということです。

ソブリン・スプレッドというのは国と国の債券、つまり国債同士を比較し、その金利差、つまりスプレッドが拡大しているかどうかを測ることを指します。ソブリンというのは国と言う意味です。

この円グラフからもわかる通り、スペインやイタリアはとても大きいです。ギリシャやアイルランドはわかるとして、投機筋がベルギーやイタリアやフランスに襲い掛かるのは正しい判断なのでしょうか?そのへんを少し考えてみたいと思います。

これは各国政府の純負債です。

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どの国も負債が増える傾向にあるけど、ギリシャが一番悪いことがわかります。


イタリアは歴史的に負債が高いですけど増え方はそれほど多くありません。つまり安定しているわけです。

このように変化率に特に注意しながらいろいろなグラフを見て下さい。

変化率といえば一番急激に純負債が増えているのはアイルランドですね。

アイルランドは優等生から一転して急激に悪くなっていることがわかると思います。またスペインも優等生だったけど悪化していることがわかります。

ドイツは一番安定しています。フランスは最近トレンドが悪化しています。

次に各国の財政赤字を見るとギリシャの急激な悪化が先ず目をひきます。
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またアイルランドの急激な悪化も注目に値します。さらにスペイン、ポルトガルも悪いです。イタリアやフランスは比較的安定していることがわかります。


財政赤字は歳入と歳出のバランスによって決まりますが、ここでは歳入(税収など)だけに注目してみました。
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なおこのグラフはGDPの%で示しているのでGDPそのものが急速に落ち込んでいる国は歳入が余り減ってないように見えます。このグラフではスペインの歳入の減り方がひどいですね。またギリシャも問題です。


次に各国のGDP成長率を見ます。
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一番ドラマチックに落ち込んでいるのはアイルランドです。ギリシャ、スペインも駄目です。

その反面、ドイツは2010年にかけて急角度でGDPがリバウンドしています。これはユーロ安の恩恵をこうむっているからです。

2007年までの好景気時代にいちばんGDP成長率が高かった国を見て下さい。上から順番でいえばアイルランド、ギリシャ、スペインが常に高成長していたことがわかります。

それはこれらの国でバブルが起きていたことの証です。

実際、不動産ブームがこれらの国では起こりました。

逆の言い方をすれば、ブームが大きかった国はその反動としてのファンダメンタルズの悪化も急激だということなのです。

イタリアやポルトガルはリーマン・ショックの前は成長率が最低の部類でした。つまり恒常的に低成長という問題を孕んでいるわけです。
失業率ではスペインのひどさが目立ちます。
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またギリシャ、アイルランドも悪化が激しいです。


経常収支で見ると景気が良かった2007年くらいまではギリシャ、アイルランド、スペインなどの経常収支の悪化が激しかったことがわかります。

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つまり消費ブームなどがおこっていたわけです。これは共通通貨ユーロを導入し、なおかつ金利がこれらの国の成長やインフレ率に対して低めに設定され過ぎていたことが原因です。一方、ドイツは恒常的に経常黒字を確保している点に注目して下さい。

ギリシャの場合、確かに政府の財政赤字が危機の原因でした。しかしアイルランドやスペインの場合、政府の負債の総額や財政赤字の大きさはずっと健全だと思われてきました。

それらの国がいま困難に直面しているのは不動産バブルがはじけて銀行が潰れそうになっているからであり、それを政府が支援したために政府の財政が圧迫を受けたのです。

実際、1999年から2008年までの9年間にEUの家計の負債はGDPの50%からGDPの70%へと急増しました。
おなじ期間、EUの民間銀行の負債はGDPの250%へと膨らみました。

おなじ期間、EU各国政府の負債のGDP比率は逆に72%から68%へと減少しているのです。

つまりEU全体で見れば問題の根源は政府の無責任な財政拡大にあるのではないということです。
とりわけアイルランドとスペインではこの期間、政府の負債比率はEU各国の中で最も減少しました。

でも不動産バブルが弾けたら不動産取引がらみの税収が蒸発してしまい、それが問題のひとつとなったのです。

整理しなおすとギリシャの問題は政府の財政赤字でした。

スペインやアイルランドの場合は不動産バブルでした。

でもイタリアやポルトガルの場合はそもそも経済成長そのものが低いことが最も深刻な問題なのです。

このように同じユーロの問題といっても抱えている事情は各国でかなり違うことを理解してください。

以上の考察をまとめてみます。

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それぞれの項目で悪化の速度、つまりマイナスの変化率が最も高い国に×印をつけました。

×が二つあるのは特に悪い国です。

これで見ると×が多い国はやっぱりギリシャ、アイルランド、スペインの順番です。

またポルトガルも悪いです。

でもベルギーやイタリアやフランスは総合的に見るとファンダメンタルズの悪化は急速ではないことがわかると思います。

最初の議論に戻ってアイルランドの救済が発表された日を境にしてベルギー、イタリアなどのソブリン債も売られ始めたことについてですけど、このようにファンダメンタルズ的にはベルギーやイタリアはそれほど急激に悪くはなっていないのです。だから投機筋が「お手付き」をしている可能性もあるわけです。

ところで最近不吉なことが起き始めています。

それはドイツ国債(ブンズ)の入札で売れ残りが出始めたことです。

ドイツはEUでいちばん大きい国だし、経済がしっかりしているので、これまでは周辺国でなにか問題があると投資家はドイツ国債に避難しました。つまりドイツだけは安全だと考えてきたわけです。

ところが最近ではそういう逆相関の関係が崩れてきているのです。

それは投資家が「ひょっとしたら、、、この問題はドイツの手にも負えないかもしれない」と感じ始めているということなのです。

それではなぜ投資家はアイルランドの救済に納得しなかったのでしょうか?これには2つの理由があります。ひとつは政治です。もうひとつは純粋に資本市場の問題です。

まず政治から見ます。

アイルランドが欧州連合ならびに国際通貨基金からの救済を仰ぐと発表した直後に緑の党が第1党のフィアンナ・フェイルとの連立政権を離脱すると発表しました。

フィアンナフェイルは単独では過半数を支配できていません。

緑の党の協力を得て、さらに無所属議員たちをかき集めて、やっとの思いで過半数を形成していたのです。

従って、緑の党の離脱は議会でなにもきまらなくなることを意味します。

来年、解散総選挙ということになりそうですが、他の政党も過半数を取れそうなところはありません。

するとどんなに欧州連合や国際通貨基金が厳しい条件をつけて融資しても、政治的な意思がないわけですから財政の立て直しとかは出来ないことを意味するのです。

だからいまフィアンナ・フェイルがEUやIMFに約束することは全て空約束なのです。

なお2011年度の予算だけはなんとか強力して通過させると言っています。

スペインも実はこのアイルランドとおなじような日本流に言うと「ねじれ国会」の様相を呈しています。

一方、この問題をお金を貸す側であるドイツなどから見れば政治的な意思統一が出来ていなくて、ちゃんと赤字削減が出来ないに違いない外国の政府になぜお金を貸すのかということになるわけです。
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そこで問題になるのは一体、お金を貸す国はどこまで相手の国の政治に干渉できるのか?という問題です。

欧州連合ではそれぞれの国家の予算策定権はしっかりとそれぞれの国に帰属しています。

別の言い方をすれば欧州連合には財務省に相当する機関は無いのです。

すると国家予算の策定や承認はそれぞれの国の国内ルールに従って決められる必要があるのです。

また欧州連合には所謂、欧州憲法は存在しません。

欧州憲法は2001年に元フランスの大統領だったジスカール・デスタンが欧州憲法制定協議会の会長となって策定しようとしたのですが、フランスとオランダのレファレンダムで国民から却下されてしまったのです。

そのため憲法に代わるものとしてリスボン条約という条約を結んで、これを欧州憲法の代用品としたのです。

このリスボン条約は慎重に国民投票の必要性を引き起こさないようにEU加盟諸国の法律を迂回するようにデザインされたものですが、どうしてもアイルランドの憲法にだけは抵触してしまい、アイルランドではリスボン条約を国民投票にかけました。

案の定、アイルランドの国民はこのリスボン条約を否決しました。

欧州連合(EU)のアイロニーはそれぞれのメンバー国はちゃんとした民主主義なのにブリュッセルにあるEU本部は通貨統合の国民投票の際も欧州憲法の国民投票の際も悉く国民はNOと言ったにもかかわらずなし崩し的に支配を継続している点にあります。

つまり行政のプロを自認するテクノクラートすなわち官僚による支配という構図になっているのです。

民主主義がおびやかされているわけです。


二つ目の理由は資本市場のメカニズムに関する問題です。

今年5月にギリシャを救済するために欧州連合や国際通貨基金が1兆ドルにのぼる救済プログラムを発表したとき、その根幹をなしたのが欧州金融安定化取極、略してEFSFと呼ばれるファンドでした。

これはA国がB国へ単独で融資するというのではお互いの国の国民が納得しない場合があるしリスボン条約に抵触する可能性があるので各国で資金を持ち寄り、それを特別目的会社としてプールすることで援助が必要な国に共同して支援しようというアレンジなのです。

その発想は良いけれど、このファンドには2つの大きな問題があります。

ひとつは期間限定のファンドなので2013年を過ぎたらこのファンドでは支援できないということ、もうひとつはメンバーの中のひとつの国がおかしくなって支援を必要とすると、その救済を受ける国は当然、ファンドのメンバーから抜けなければいけないということです。

つまり救済すべき国が増えればふえるほど、みるみるファンドの残高がへってしまう構造になっているわけです。


そこでドイツのメルケル首相が中心となってEFSFの欠点を補完するESMという新しい救済メカニズムが発表されました。

EFSFが2013年までという時限措置なのに対し、ESMは恒久的な存在です。

またお金の出してが借金を返してもらう優先順位としてはIMFの次、つまり第2番目に優先されるということが決められました。

さらにデフォルト時の権利関係の整理を簡単にするために米国型の集団交渉を盛り込みました。

そして2013年以降に新しく出された国債がデフォルトした場合は債券を買った投資家もデフォルト時に痛み分けするという、所謂、ヘアカットを自動的に盛り込むことが決められました。


実はこの最後のヘアカット条項で投資家は「2013年以降はEUは債券投資家を守ってくれないのだな」ということを悟り、将来のリスク増大を先取りするカタチでソブリン債全般を敬遠しはじめました。

このためスペイン、ベルギー、イタリアなどの国債の価格は急落しはじめました。そこでフィナンシャル・タイムズはこのESMの導入を「メルケル・クラッシュ」と呼んでいます。

今回の危機は或る意味で1992年のERM危機に似ています。

ERMはヨーロピアン・エクスチェンジ・レート・メカニズムの略です。

これは統一通貨ユーロを導入する前哨戦として欧州各国がだんだん為替レートをお互いにペグし合い、次第にレートを固めて行こうとしたものです。

1991年に世界が不景気になり米国が利下げを繰り返しドルが売られました。

ドル安でユーロ圏の弱い国々は輸出不振に陥りました。

そこでフィンランドが先ずマルカを12%切り下げました。

6月にオランダで国民投票があり、EC統合に関する欧州連合条約、つまりマーストリヒト条約は賛成49.3%、反対50.7%の僅差で否決されてしまいます。

そのためイタリア・リラが急落しました。

フランスでは9月20日に国民投票が予定されていましたが、若しフランスの国民がこれを否決すればEU統合は失敗するとの不安が高まり、投票を待たずにイギリスのポンドはERMの下限をやぶります。

そこでEUは緊急会議を開き、ドイツに利下げしてくれるよう依頼しますがドイツがこれを拒否、フィンランドのマルカは15%暴落、英国はベース・レンディング・レートを10%から12%に引き上げます。

しかしそれでもポンドに対する攻撃が止まなかったので英国はERM脱退を申し出ます。



なぜこんにちポンドだけがユーロではないのかその理由はここにあるのです。当時は個々の国の通貨が別々に取引されていましたからヘッジファンドは個別通貨への売り崩しを試みました。


今回はEFSFという仕組みがちょうど当時のERMと相通じるものがあると市場関係者は語っています。

今回の場合、ユーロという共通通貨が使われているのでヘッジファンドは個別国の債券への売りを仕掛けています。

だからそれらの周辺国の債券利回りとドイツの債券利回りの格差、つまりソブリン・スプレッドが問題にされるわけです。


アイルランド危機がベルギーやイタリア、フランスに飛び火しそうになって時点で市場ではSMPの拡大が発表されるのではないか?と噂されはじめました。

SMPとはセキュリティーズ・マーケット・プログラムの略でカンタンに言えば中央銀行、この場合欧州中央銀行(ECB)が周辺国のソブリン債を直接購入することを指します。

見方によっては欧州版QEということも出来ます。

但しSMPは殺菌(ステリライズ=不胎化)されており、インフレをわざと起こすという目的でなされるものではありません。

5月のギリシャ危機の際はSMPは670億ユーロの周辺国ソブリン債を購入しました。

このうちギリシャ国債は約400億ユーロだと言われています。

結局、先週のECB政策金利会合ではSMPの大規模拡大は発表されず、当初来年早々に終了されるはずだったSMPを当分の間継続するということでお茶が濁されました。

ただ市場関係者はECBがガンガンとポルトガルのソブリン債を買っているのを見てここは素直に流れについた方が良いと判断しました。

でもこれでユーロ危機が去ったわけではないと思います。

先週のECB金融政策会合の際、ハッキリした追加プログラムを世界に説明しないままにECBが市場でガンガン国債を買ったのは或る意味でなし崩し的な行為であり、フェアじゃないという見方をする人も居ます。

でもこの問題ではECB内部でも極端に意見が対立しており、逆の見方をすればとてもじゃないけど正面切って宣言して量的緩和が出来るような状態ではないという風にも言えるのです。


さて今後のシナリオについてはいろいろなものが考えられます。まず今後もユーロの問題が長引き、ドル高になった局面ではリスク・トレードの巻き戻しが再び起こる可能性があります。

リスク・トレードというのはドル安を見越して、ドルが安くなったときに逆相関で上昇しやすい原油、金、銅、新興国株式などを買うやり方です。


もうひとつのシナリオですが仮にドル安にならなくても、つまりユーロが売られた場合でも原油が高くなるというシナリオも少しその兆候が見え始めています。

つまりドルと原油の逆相関の構図が崩れる可能性もあるということです。

この原因にはいくつかの理由が考えられますが、ひとつには米国の実体経済が最近強くなっているのでそれに合わせて原油の需要も増え、それが原油高を演出しているという考え方です。

もうひとつはユーロを調達原資として欧州のファンドが原油にお金を避難させるというシナリオです。

言い換えればユーロ版リスク・トレードということです。

これはあまりマーケットからは支持を得ていないシナリオですけど、若しこれが起こると気をつける必要があります。

なぜなら景気が悪いのにインフレになるという、所謂、スタグフレーションのシナリオになるからです。

FRBバランスシート推移

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米連銀の総資産
2008年 8500億ドル
2009年 QE1 約2兆ドル
2011年 QE2 約3兆ドル以上

FRBバランスシート

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  「 プライマリーディーラー 」 向けの融資制度を利用した大手金融機関の内訳
 
金融機関名            累計融資額     利用回数
シティグループ          1兆7567億ドル    174回
シティグループ(英国支店)     2634億ドル    105回
メリルリンチ            1兆4871億ドル     99回
メリルリンチ(英国支店)       5942億ドル    127回
モルガンスタンレー        1兆3643億ドル    122回
モルガンスタンレー(英国支店)   5482億ドル     90回
ゴールドマンサックス         4336億ドル     52回
みずほ証券(米国支店)        423億ドル    108回
BNPパリバ               663億ドル     43回

ドミノ倒し

●ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22129
【11月27日 by Washington's Blog】

 今や、ヨーロッパのソブリン・デットの伝染が大まかに言って以下の流れでドミノ倒しとなる可能性があることが常識的な認識となっている。

ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス もう1年以上前からこのことを書いてきている人々がいたが、今や多くの人々がこの問題を議論しているサイトに参加している(60万以上のヒット)。

 
 ギリシャとアイルランドは比較的経済規模の小さな国であるが、スペインがドミノ倒しとなれば問題は大きいだろう。

 アイスランドは世界では112番目の経済規模で、アイルランドは38番目、ポルトガルは36番目である。これに比べて、スペインは9番目に大きい経済を持ち、イタリアは7番目、そしてイギリスは6番目である。最後の3カ国の内の1カ国でも経済崩壊すれば世界経済にたいしては破壊的な影響がある。 ヌリエル・ルビニは今年2月に以下のように書いている:しかしドミノの真の悪夢はスペインだ。ルビニはスペインの負債問題は「家の中の象」と表現している。
 「スペインをフェンスで囲むことはできる。アイルランド、ポルトガル、ギリシャに3年ほどの財政支援を正式に行うことはできる。彼らを市場から抜けさせるのである。おそらくは彼らの負債を可能なラインにまで再編して減らすことになる」
 「しかしスペインが崖から落ちればスペイン救済に必要な公式な資金はヨーロッパには充分に存在しない。スペインは大きすぎるから倒すわけには行かないが、救済するにも大きすぎるのだ」

 スペインの問題はまずその公債の大きさだ:1兆ユーロだ。スペインは民間の対外債務も1兆ユーロある。これだけの大きさがあると、政府レベルでも超国家的なレベルでも救済のための充分な資金がないというのが実情だ。
 以前指摘したように、世界で4位と5位の経済を持つドイツとフランスは、ポルトガルとスペインに最大のエクスポウジャーを持つ。伝染する危険に加えてユーロ圏内での相互関係がある。 自国の経済を上手くやりくりし貸し出しに使えるほどの過度な準備金を貯め込んだ債権国によるユーロ圏の救済、という体裁を保つようにしているがショーン・コリガンはユーロ圏の救済はねずみ講と一緒だと指摘している:数兆ユーロにのぼる詐欺の規則の下では、国家はECBを保証し、ECBは銀行に貸し出し、銀行は政府の負債を買い込み、政府は全ての者の保証をしている。

 (アメリカも事情は変わらない:多くの者たちが、アメリカは巨大な詐欺を働いていると言っている。そしてアメリカとヨーロッパは支払不能の銀行の問題を偽りのストレステストでもってもみ消そうとしている)

 そのようになる必要ななかったのだ。ヨーロッパの諸国は銀行のために犠牲になる必要はなかった。

 ルビニは2月に書いている:「我々は銀行システムの損失を社会化することを決めていた」・・・

 ルビニは更なる介入の試みはソブリン・デット問題を大きくするばかりだと考えている。彼は、「今はこういった諸国の救済をする超国家組織のIMF、EU、ユーロ圏が存在している」。超国家組織は国債を引き受けることで問題を集中化することになり問題のスケールを大きくしている。

 ルビニは超国家組織の介入を単に缶をけり転がすだけのことだ、と説明している。彼は、「IMFやユーロ圏を救済するために、誰も火星や月から助けに来てくれる者はいない」と苦々しく語る。

 しかし、国家レベルや超国家レベルでの負債の借り換えをしても、最終的には現実が立ちはだかる:「いずれそのうち、負債の再編が必要になる。銀行の債権者は清算されねばならない。でなければ、これら全ての負債を政府のバランス・シートに記載しなければならなくなる。政府は耐え切れずに支払い不能に陥るだろう」。

 ここに4月の記録がある。

 2008年12月に指摘したように、中央銀行間の取引を調整するために、BIS(国際決済銀行)はしばしば中央銀行の中央銀行と呼ばれる。

 銀行救済パッケージは深刻なリスクを政府のバランス・シート上に移しているとBISは新しいレポートで指摘している。それが国家CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の拡大に比例して現れている。

 銀行救済パッケージの大きさと拡がりは政府のバランス・シート上に深刻なリスクを移していることを意味する。これは民間の大銀行の救済ないしはアメリカを含む金融セクターのための広範囲は支援パッケージに関わる国家のCDSの市場にとりわけはっきりと示されている。こういったCDSは、支援パッケージの発表前にはわずかに取引されていたのだが、クレジットの保護のための要請が拡大したため突然、急速に拡大し、反対に金融セクターへの拡大は鈍化した。

 つまり、有毒デリバティブを取引している銀行によるリスクの巨大さに鑑みて、また自分たちの保有しない兆という額を使うことで、各中央銀行は自国をデフォルトのリスクに晒したのだ。・・・ 
 しかし、彼らには他の選択肢はなかった・・・そうではないか?
 国家は自国の銀行を救済する以外の他の選択肢はなかったであろう、そうではないか?
 実際そのように彼らはした。

 有力なマネタリー・エコノミストはウォール・ストリート・ジャーナル誌に対して、これは流動性の危機ではなく、支払不能の危機だ、と語った。彼女は、バーナンキは最後の決戦をしている。そして彼はまずいやり方をしている(他の中央銀行と同様に)、と述べている。

 ポール・クルーグマンとジェームズ・ガルブレイスはその見方に同意している。彼らは、誰も願わない有毒アセットの価格を引き上げようとする政府の試みは何にもならないと言っている。

 BISは連邦準備銀行と他の中央銀行の影の銀行システムの規制の失敗、トリックと緩和策の使用という安易なクレジット・ポリシーを酷評した。そして、
1.市場での真の価格に見合うまでアセット価格を下がるに任せること
2.貯蓄率を上げること
3.各企業の不良債権を回収不能として帳消しにすること

以外のことは事態を悪化させるばかりだ、と語った。

 住宅バブル問題を抱えているのはアメリカだけではないことを思い起こそう。世界の中央銀行は住宅バブルが膨らむままにさせていたのだ。2008年12月に以下のように書いた:・・・バブルはアメリカに限定されているわけではない。不動産バブルは世界的である。

 実際、エコノミスト誌は2005年に、住宅不動産価格はこの10年間で「歴史的に最大のバブルだ」と書いている。エコノミスト誌は、当時では、先進国の居住用財産の総額は過去5年間で30兆ドル増加して70兆ドルになり、これらの国家のGDPを合せた額と同じ額上昇した、と指摘していた。

 住宅バブルは今や中国、フランス、スペイン、アイルランド、イギリス、東ヨーロッパ、その他の多くの場所で、破裂しだしている。
 
 そして商業用不動産のバブルもまた世界的に破裂しだしている。
 BISはま強調文た、救済は経済に悪影響を及ぼす(前FRB議長の公開市場操作で行った)と警告した。実際、救済は更に危ないことを煽るようになるモラル・ハザードの雰囲気を作り出した。ノーベル賞受賞者のジョージ・アケロフは1993年に、クレジット・デフォルト・スワップは大規模な破綻を招くこと、また未来の破綻は、事態がまずい方向に進んだ際には支払うことができないような賭けによって、そしてそういったギャンブラーたちを救済することで、巨大金融業者らが不正収得することを政府が阻止しない限りは、必ず起きると予見していた。

 こういった真実はヨーロッパ同様アメリカでも当てはまることだ。中央銀行は間違ったことをしてきた。彼らは事態を何も改善していない。ただ単に有毒デリバティブとその他の金融爆弾を巨大銀行から国家に移転させただけなのだ。

PIIGS

アイルランド危機
2010年11月25日

財政赤字がGDP比で32%もある政府は、信用されません。このため、政府が金融機関を救済する資金の調達(=アイルランド国債の発行)が、金利の高騰(現在12%)のためできません。この危機は、アイルランドの対外債務(2008年で80兆円:GDP11兆円の約8倍)の不良債権化を意味します。10兆円の緊急融資がなければ、デフォルト(債務不履行)でした。

ほとんどの投資家が、先進国のデフォルトについて鈍感です。デフォルトは後発国でしか起こらないと考えているからでしょう。

アイルランドへ貸した主な金融機関は、英国、ドイツ、および米国の銀行です。日本の銀行も3兆円を貸しています。米国にはアイルランド出身が多く、ケネディ家もアイリッシュです。

2000年代のアイルランドに、欧州の銀行から、GDPの8倍もの巨額の資金流入(貸し付け)が起こったのは、海外の投資を呼ぶため法人税率が12.5%と経済特区風に低く、巨額マネーが海外から流入する経済になったため、バブル風の経済成長率が高く、投資利益が大きいと見なされていたからです。これは、回収リスクが高いために利回りが高かったサブプライム・ローン証券と、全く同じ構造です。

アイルランドの80兆円の対外債務に、デフォルト(債務不履行)が起これば、英国とドイツの大手銀行がつぶれ、さらに連鎖します。つまり、英国とドイツを含む大手銀行の債務危機が、即日に生じます。そこで、ユーロの中央銀行ECBが主になって、IMFにも呼びかけ、EUから(とりあえず)10兆円規模の緊急貸し付けが行われることになりました。

しかしこの10兆円の緊急融資も、「その場凌ぎ」でしかありません。デフォルトを避けるには、もっと大きな追加貸し付けが必要になります。

更に言えば・・・アイルランドだけではないのです。ここに、ユーロ危機の深刻さがあります。政府当局は、銀行には巨額の粉飾決算を許していて、危機対策のマネー投入で「危機は去った」と発表します。アイスランド危機とギリシア危機の時が、それでした。アイルランド危機でも同じです。

■PIIGSの危機がいよいよ露呈

2000年代に、海外から資金流入が起こったPIIGS(ポルトガル・イタリア・アルイランド・ギリシア・スペイン)も、アイルランドに似ています。欧州大陸内は「海外」ではありませんが、日本風に言えば海外(Foreign Country)からでしょう。

最悪の順に言えば(1)アイルランド、(2)ギリシア、(3)ポルトガル、(4)スペイン、(5)イタリアです。アイルランド問題は、80兆円ですが、スペインやイタリアになると、ドイツと欧州中央銀行が支えきれないくらい大きい規模です。

2000年代のスペインとイタリアの不動産バブルは巨大でした。1億円や2億円を超える古い住宅が、ザラだったので、驚愕するくらいの高騰劇でした。

PIIGSへの融資と国債保有は、ドイツ・フランス・ベルギー・英国・スイスの金融機関です。当然、米銀も、直接、間接的に大きく絡んでいます。

ギリシア・アイルランドの次には、近々、ポルトガルとスペインが同様の状態に陥ります。これも、確実です。

(1)ポルトガルの対外純債務(=対外債務-対外債権)は、GDPの2倍の5100億ドル(42兆円)です。
(2)スペインの対外純債務は、GDPの1.7倍の2.4兆ドル(200兆円)です。
(3)イタリアはGDPの1.3倍の対外純債務で2.3兆ドル(190兆円)です。

この対外純債務相当額が、不動産と株を上げていました。ドイツ・フランス・北欧のお金持ちも、夏のリゾート物件を買いあさっていました。通貨は同じユーロで、為替リスクはなかったからです。

仮に日本が、名目GDP(479兆円:10年7月)の2倍に当たる1000兆円を海外から借りていれば、どうなるか? これを想像すれば、ポルトガルとスペインの対外債務危機の深さが分かります。

ともかくPIIGSは返せない対外借金国です。そして、次は、合計で200兆円の対外債務をもつ東欧が控えています。ドイツの銀行が最大の貸し手です。

とりあえず、EU(主はドイツ)、ECB(欧州中央銀行)、およびIMFは、PIIGSがデフォルトを起こさないよう、資金繰りのため資金を貸します。支援基金の拠出枠は、EUから5000億ユーロ、IMFから2500億ユーロで、合計7500億ユーロ(83兆円)とされますが、この基金も「危機を先送りするためのその場の資金繰り資金」にしかならないでしょう。

金利の高い貸し付け金の追加の負債がPIIGSに溜まり、対外負債は、借りた分だけ膨らむからです。借りて危機を脱することはできません。

PIIGSは財政赤字を減らし、緊縮財政を組んで、公務員を30%以上カットし、加えて国民の賃金を切り下げない限り、利払いと返済はできません。商品価格を下げた輸出増でしか、返済と利払いのマネーは生まれないからです。ギリシアが国家破産するのは、観光以外にはめぼしい収入がなかったからです。

■今後も危機は続く

『PIIGSには、今後も数ヶ月や2ヶ月単位で危機が起こる』…なぜこのように「確定的なこと」が言えるのか?

PPIGSの財政赤字と経済成長から見て、売られて金利が上がった国債と対外債務の返済・利払いは、どう転んでも不可能です。ギリシア政府の債務額の偽装で露呈したことですが、PIIGSの対外債務と財政赤字の削減予定(緊縮財政)は、信用できません。

アイルランドで言えば、デフォルトを回避するための今回の緊急融資の10兆円も、新たに12%以上の利払いが必要な対外債務の増加です。

今月や来月に満期が来る国債と証券の、利払いと償還は借りた10兆円で出来るでしょう。しかし、対外負債は80兆円もあります。これに10兆円の高利の負債が、新たに増えたということです。

アイルランドは、GDPの8倍の対外負債の大きさが問題だったのに、その負債が更に増えます。今、12%の金利です。80兆円×12%=9.6兆円です。この利払いだけで、緊急融資の10兆円が消えます。


企業が、いよいよ倒産するときの、数ヶ月で負債が膨らむプロセスと同じです。


ただし、欧州政府やECBは「支援金で危機が回避された」と言い続けます。その理由は、危機と言えば、ユーロの危機(ユーロ債売り)を招くからです。

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