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米金融危機2

〔特集:米金融危機(2)〕政府保証への根拠なき楽観、市場にリスク回避の動き
2008年 07月 18日 13:56 JST 記事を印刷する | ブックマーク[-] 文字サイズ [+]
基太村真司記者 山口貴也記者


 [東京 18日 ロイター] 「誰かが米政府系金融機関(GSE)債を売り始めたら終わりだ。うわさが流れただけでも市場が崩れかねない」――。GSEの関連債券の発行残高は米国債を上回る。大手民間金融機関やヘッジファンドに加え、巨額の外貨準備を抱える各国中央銀行の保有も小さくない。暗黙に過ぎない政府保証を後ろ盾とする「根拠なき楽観」のぐらつきが鮮明になれば、米国に対する信認に傷が付き、資金流出を伴う米トリプル安シナリオも急速に現実味を帯びる。すでに一部の日本の投資家はリスク回避に向けて動き始めている。


 <投資はジニーメイに一本化も、財政出動めぐり市場は疑心>


 政府の救済策発表後もGSE関連債券の価格は底堅い動きが続き、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)(FRE.N: 株価, 企業情報, レポート)が14日に実施した短期債の定例起債でも応札倍率は4.16倍と前週の2.98倍を上回るなど、表面上、市場の混乱は抑えられている。しかし投資家の間では、GSE破たんの可能性をにらんだリスク回避の動きが、早くも水面下でじわりと出始めた。


 ある日本の大手投資家は今年4月以降、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)(FNM.N: 株価, 企業情報, レポート)とフレディマック関連債の購入を見送り、政府が出資する事実上の政府機関である米連邦政府抵当金庫(ジニーメイ)に一本化した。同社の幹部は「住宅ローン担保証券(RMBS)は償還までの期間が早いので、もともと負債とのデュレーションを組み立てて持つわけではないが、(GSEをめぐる)リスクはゼロではない」と明かす。

 一部投資家の間では「金融庁もGSE関連債のクレジットリスクを見ろとは言わなかった」と、リスク管理責任の転嫁ともとれる声まで上がっている。


 GSE関連株が急落した10日以降、外為市場でドル/円<JPY=>相場が1カ月半ぶり安値となる103円後半まで4円近く下落。米国では、ダウ工業株30種平均.DJIが一時500ドル超下落し、2006年7月以来の1万1000ドル割れとなるなど、金融マーケットでは、ドル資産売りとも言える動きが少しずつ現れている。


 米政府がどこまで財政出動するのか、という不透明感も金融市場の不安定な値動きを助長している。たとえば債券市場では、金融不安がおきれば「質への逃避」の動きが広がって債券は買われる、との連想が働きやすい。しかし、財政負担額が膨らめば、米財政悪化の思惑から米債売りに火がつく恐れもある。

 ある邦銀の運用担当者は「金融不安が米地銀に飛び火し、米株は買えない中で、質への逃避から米国債が少しだけ買われている状況が続いている。しかし、米国の財政負担を考えると、トリプル安になる可能性がちらつくため、米国債利回りの低下余地は言われているほどに大きくない」と話す。


 <投資家は政府保証を確信、米政府の足元見透かす>


 GSE関連債券は、国債より高い金利設定にも関わらず、政府系金融機関の発行債券という安定性が売り物だ。発行残高は約5兆3000億ドルを超え、米国債を上回る規模に達する。投資家層は米金融機関や年金、投資信託、個人などに加えて、海外の投資家にも及ぶ。

 ただ、上場する民間企業であるファニーメイとフレディマックには政府の資本は入っておらず、両社発行の債券についても、政府保証が趣意書に明記されているわけではない。それでも、プロの投資家が契約書面のないGSE債の「政府保証」を暗黙の了解として信じ、金融市場全体が大きな動揺に至っていないのは、投資家の間に広がる「米政府は最終的に必ず保証をつけてくる」(冒頭の投資家幹部)との思惑が背景にある。


 GSEの巨額な発行残を支える多様な投資家層が大きな損失を被る事態になれば、中銀マネーを含めて世界中の投資資金が米国から一気に逃げ出し、米国経済そのものが危うくなる――。「政府は絶対にその選択肢は取らない。市場が政府保証を信じていることを否定するような言動も今まで一度もなかった。GSE債がデフォルトするようなことになれば、政府の信認問題に関わる。そうなればドル資産はすべて暴落する可能性もある。各国の外貨準備まで含めたすべての投資家層が、そう思っていることを米政府は知っている」(後出の大手投資家)と、投資家は米政府の足元を見透かした読みに出ている。


 そうした市場の思惑を確信に一歩近づけたのが、15日のポールソン米財務長官の議会証言だ。「GSEが発行した負債と他の債券は世界中の金融機関が保有している」と述べ、世界の投資家に配慮する姿勢をにじませた。これが不安心理に揺れていた世界の投資家に「安堵感を与えた」(外銀の外為ディーラー)という。米上院銀行委員会のドッド委員長も16日、GSE2社の支援策は来週にも上院での採決が可能との見方を示し、米政府と議会の連携を示した。


 <基軸通貨体制崩壊レベルの危機、市場と政府は一蓮托生>


 米金利には低下圧力がかかりやすい面があり、トリプル安は避けられるとの見方もある。「こうした機関があったから、米住宅市場が支えられた面がある。住宅価格の右肩上がり神話をつくっていた。それに対する信認が落ちるという事は、米国住宅市場の不安定化にもつながりやすく、スパイラル的に景気が悪化し、金利には低下圧力がかかりやすい」と国内証券のストラテジストは指摘する。

 同氏は「ドル資産離れと言われて久しい。しかし、ドル資産がなくなったら困る投資家も少なくないことも事実。質への逃避資金という意味で、GSE債から米国債への乗り換え程度の動きにとどまり、米国からの資金流出に拍車がかかる可能性は小さい」とも話した。


 ただ、GSE問題の根源とも言える米国の住宅価格が下げ止まらなければ、GSE債デフォルトという「あり得ないリスク」(後出の投資家)が次第に意識され始める可能性は否定できない。海外投資家の手じまい売りによるドル下落、格下げによる一段の債券売り、債券下落による米系銀の業績悪化や株安、投資信託を通じた個人資産・消費への影響も視野に入る。さらに資金流入が細れば、経常赤字国の米国にとっては致命的だ。


 バークレイズ銀行のチーフFXストラテジスト、梅本徹氏は「今後50年程度を考えれば、真の米国の危機はドル基軸通貨体制というヘゲモニー崩壊に向けた米国債をめぐる動きに現れるだろうが、エージェンシー債は米国債と並んで米経常赤字をファイナンスする重要な機能だった。今回の問題も擬似的なドル危機といえる」と話す。

 最悪の事態に米政府の保証がなければ世界の投資家の損失は巨額に上り、投資家が先んじて米国を離れれば米国のファイナンスに支障をきたす。一蓮托生となった市場と政府の「チキンレース」は始まったばかりだ。

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