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PIIGS

アイルランド危機
2010年11月25日

財政赤字がGDP比で32%もある政府は、信用されません。このため、政府が金融機関を救済する資金の調達(=アイルランド国債の発行)が、金利の高騰(現在12%)のためできません。この危機は、アイルランドの対外債務(2008年で80兆円:GDP11兆円の約8倍)の不良債権化を意味します。10兆円の緊急融資がなければ、デフォルト(債務不履行)でした。

ほとんどの投資家が、先進国のデフォルトについて鈍感です。デフォルトは後発国でしか起こらないと考えているからでしょう。

アイルランドへ貸した主な金融機関は、英国、ドイツ、および米国の銀行です。日本の銀行も3兆円を貸しています。米国にはアイルランド出身が多く、ケネディ家もアイリッシュです。

2000年代のアイルランドに、欧州の銀行から、GDPの8倍もの巨額の資金流入(貸し付け)が起こったのは、海外の投資を呼ぶため法人税率が12.5%と経済特区風に低く、巨額マネーが海外から流入する経済になったため、バブル風の経済成長率が高く、投資利益が大きいと見なされていたからです。これは、回収リスクが高いために利回りが高かったサブプライム・ローン証券と、全く同じ構造です。

アイルランドの80兆円の対外債務に、デフォルト(債務不履行)が起これば、英国とドイツの大手銀行がつぶれ、さらに連鎖します。つまり、英国とドイツを含む大手銀行の債務危機が、即日に生じます。そこで、ユーロの中央銀行ECBが主になって、IMFにも呼びかけ、EUから(とりあえず)10兆円規模の緊急貸し付けが行われることになりました。

しかしこの10兆円の緊急融資も、「その場凌ぎ」でしかありません。デフォルトを避けるには、もっと大きな追加貸し付けが必要になります。

更に言えば・・・アイルランドだけではないのです。ここに、ユーロ危機の深刻さがあります。政府当局は、銀行には巨額の粉飾決算を許していて、危機対策のマネー投入で「危機は去った」と発表します。アイスランド危機とギリシア危機の時が、それでした。アイルランド危機でも同じです。

■PIIGSの危機がいよいよ露呈

2000年代に、海外から資金流入が起こったPIIGS(ポルトガル・イタリア・アルイランド・ギリシア・スペイン)も、アイルランドに似ています。欧州大陸内は「海外」ではありませんが、日本風に言えば海外(Foreign Country)からでしょう。

最悪の順に言えば(1)アイルランド、(2)ギリシア、(3)ポルトガル、(4)スペイン、(5)イタリアです。アイルランド問題は、80兆円ですが、スペインやイタリアになると、ドイツと欧州中央銀行が支えきれないくらい大きい規模です。

2000年代のスペインとイタリアの不動産バブルは巨大でした。1億円や2億円を超える古い住宅が、ザラだったので、驚愕するくらいの高騰劇でした。

PIIGSへの融資と国債保有は、ドイツ・フランス・ベルギー・英国・スイスの金融機関です。当然、米銀も、直接、間接的に大きく絡んでいます。

ギリシア・アイルランドの次には、近々、ポルトガルとスペインが同様の状態に陥ります。これも、確実です。

(1)ポルトガルの対外純債務(=対外債務-対外債権)は、GDPの2倍の5100億ドル(42兆円)です。
(2)スペインの対外純債務は、GDPの1.7倍の2.4兆ドル(200兆円)です。
(3)イタリアはGDPの1.3倍の対外純債務で2.3兆ドル(190兆円)です。

この対外純債務相当額が、不動産と株を上げていました。ドイツ・フランス・北欧のお金持ちも、夏のリゾート物件を買いあさっていました。通貨は同じユーロで、為替リスクはなかったからです。

仮に日本が、名目GDP(479兆円:10年7月)の2倍に当たる1000兆円を海外から借りていれば、どうなるか? これを想像すれば、ポルトガルとスペインの対外債務危機の深さが分かります。

ともかくPIIGSは返せない対外借金国です。そして、次は、合計で200兆円の対外債務をもつ東欧が控えています。ドイツの銀行が最大の貸し手です。

とりあえず、EU(主はドイツ)、ECB(欧州中央銀行)、およびIMFは、PIIGSがデフォルトを起こさないよう、資金繰りのため資金を貸します。支援基金の拠出枠は、EUから5000億ユーロ、IMFから2500億ユーロで、合計7500億ユーロ(83兆円)とされますが、この基金も「危機を先送りするためのその場の資金繰り資金」にしかならないでしょう。

金利の高い貸し付け金の追加の負債がPIIGSに溜まり、対外負債は、借りた分だけ膨らむからです。借りて危機を脱することはできません。

PIIGSは財政赤字を減らし、緊縮財政を組んで、公務員を30%以上カットし、加えて国民の賃金を切り下げない限り、利払いと返済はできません。商品価格を下げた輸出増でしか、返済と利払いのマネーは生まれないからです。ギリシアが国家破産するのは、観光以外にはめぼしい収入がなかったからです。

■今後も危機は続く

『PIIGSには、今後も数ヶ月や2ヶ月単位で危機が起こる』…なぜこのように「確定的なこと」が言えるのか?

PPIGSの財政赤字と経済成長から見て、売られて金利が上がった国債と対外債務の返済・利払いは、どう転んでも不可能です。ギリシア政府の債務額の偽装で露呈したことですが、PIIGSの対外債務と財政赤字の削減予定(緊縮財政)は、信用できません。

アイルランドで言えば、デフォルトを回避するための今回の緊急融資の10兆円も、新たに12%以上の利払いが必要な対外債務の増加です。

今月や来月に満期が来る国債と証券の、利払いと償還は借りた10兆円で出来るでしょう。しかし、対外負債は80兆円もあります。これに10兆円の高利の負債が、新たに増えたということです。

アイルランドは、GDPの8倍の対外負債の大きさが問題だったのに、その負債が更に増えます。今、12%の金利です。80兆円×12%=9.6兆円です。この利払いだけで、緊急融資の10兆円が消えます。


企業が、いよいよ倒産するときの、数ヶ月で負債が膨らむプロセスと同じです。


ただし、欧州政府やECBは「支援金で危機が回避された」と言い続けます。その理由は、危機と言えば、ユーロの危機(ユーロ債売り)を招くからです。

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